「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」を改正する法律案要綱 第1 保護法益の明確化   この法律における保護法益の対象となるのは、虐待行為の犠牲となっている児童個人である事は明白である。  しかし、現行法においては、保護法益が個人法益であるのか、社会法益であるの不明瞭であるため、  法律運用上様々な問題が発生している。  よって、改正に当たっては、同法が実在する児童の人権を守る個人法益保護法である事を明確にする。  (第一条関係) 第2 定義   児童ポルノとは、児童虐待の記録物である。よって、前述のように定義を修正し、  その内容が一般的な意味における「ポルノ」でなくとも、明白な児童虐待が認められる場合には、 法的な取り締まりの対象となるようにする。  (第二条関係) 第3 国民の権利に対する配慮   捜査上における、個人情報等の流出を禁止する事を明確にし、国民のプライバシー権への配慮を深める。  (第三条関係) 第4 所轄官庁   法律には、それを運用する所轄官庁が必要である事は明白である。  よって、改正に当たっては、所轄官庁を厚生労働省及び法務省と明確に定める。  厚生労働省は、被害児童の心身を保護し、その為の体制整備に努める事を、その職務とする。  法務省は、児童虐待を行う者を取り締まり、又は矯正する事を、その職務とする。  各省庁の連携協力体制も、明文化する。 (追加条文) 第5 罰則  児童の人権を重視する立場に基づき、この法律の各罰則を次のように改正する。 (1)安易な厳罰化が、実際の事件に対する抑止力となり得るのか、疑問である。    よって、児童買春を行った者への刑罰は、現行法のままとする。   (第四条関係) (2)児童福祉法との法的整合性を鑑み、罰則を「五年以下」又は「十年以下及び五百万円以下」とする。    尚、この他の罰則規定でも、児童福祉法との整合性は考慮するものとする。   (第五条及び第六条等関係) (3)「児童に虐待を加え、児童ポルノを制作した者を罰する条文」を新設し、    性的搾取者または性的虐待者として、厳罰に処す。   (追加条文) (4)児童ポルノを販売しているだけの者は、間接的にポルノ市場を支える結果になっているが、    本来の意味での、「児童虐待者」と呼べるかどうか疑問である。    何故なら、「販売しているだけの者」は実在の児童に対し、虐待を加えた訳ではなく、小児性愛者とも限らないからである。    「販売しているだけ」の者を厳罰に処すと、    前述の「実在の児童に対し虐待を加え、ポルノを制作した者」の罪が相対的に軽くなってしまい、    結果として、児童の人権を軽視する結果に繋がる。    従って、当条文の罰則は、「わいせつ物取締法」程度が適切である。   (第七条関係) (5)「児童に売春行為、またはポルノへの出演を強要した者を罰する条文」を新設し、    児童に対し虐待を行った者として、厳罰に処す。   (追加条文) 第6 国際的な人身売買への対応  婚姻、または性的ではない職業への就労等を名目として偽装する人身売買行為、  所謂「トラフィッキング」に対処可能となるよう、条文を変更する。  (第八条関係) 第7 売春防止法の一部失効  「売春防止法を一部失効させる条文」を新設し、  売春防止法第五条、及び第六条等を被害児童に対しては無効とし、もって児童を保護するものと定める。  (追加条文) 第8 親告罪  児童の性的自己決定権を尊重する立場に基づき、「親告罪」の概念を導入する。  親告罪が適用されるのは、十六歳以上の児童と定め、公訴を提起する期間は、無制限とする。  また、人身売買等の組織的犯罪に対しても、適用外とする。  (追加条文) 第9 被害児童への配慮  取り調べ等に当たる職員は、児童虐待問題に関し専門的知識を有するものと定め、  これをもって被害児童の精神的苦痛及び肉体的苦痛に対する配慮を深めるものとする。  (第十二条関係) 第10 啓発及び調査研究  この法律を運用する関係行政機関は、民間の団体とも協力連携する事とし、  児童に対する虐待問題についての科学的な調査を、定期的に実施するものとする。  また、虐待行為を予防する観点から、社会における科学的な性知識の普及を推進する。  (第十四条関係) 第11 性教育   「児童に対する性教育に関する条文」を新設し、児童への性教育を定期的に実施する。  性教育は、児童が虐待行為から自衛し、また自己の性的自己決定権を確立するためのものとする。  性教育の対象となる児童の年齢は、満九歳以上とする。  性知識、または児童の性的自己決定権に関し、教師等の教育関係者へ指導は、特に徹底する。  (追加条文) 第12 被害児童の保護  両親等、被害児童と密接な関係を有する者は、場合によっては指導の対象とする。  児童ポルノは虐待行為の証拠物であり、類似の物が発見された場合には、可能な限り被害児童を特定し、保護する。  上述の保護を可能とするため、関係行政機関は、連携を強化する。  (第十五条関係) 第13 出入国管理及び難民認定法の一時的失効  「出入国管理及び難民認定法の一時的失効条文」を新設し、トラフィキング等の犠牲となった児童が保護された場合、  例え不法入国者であっても、適切な保護措置及び心身の治療を受けられるものとする。  入国審査官等も、児童に対する虐待問題に関し、積極的に協力しなければならないものとする。  (追加条文) 第14 児童保護の為の体制整備  関係行政機関は、児童の保護に当たる民間の団体、法人等とも協力するよう、明文化する。  被害児童が緊急的に避難できる民間の施設、所謂「シェルター」が普及するよう、尽力するものと定める。  (第十六条関係) 第15 附則  児童個人の人権を尊重する立場に基づき、  児童買春及び児童ポルノの規制その他の児童を虐待行為から保護する為の各制度については、  この法律及び児童虐待の防止等に関する法律の施行状況等を勘案し、  将来児童虐待の防止等に関する法律の改正を持って統合する事を検討するものとする。