★★★+『ドクター・ドリトル2』(DR. DOLITTLE2)
自殺願望の虎を助けたことから、動物と会話できる才能を世間に認められるようになったドクター・ジョン・ドリトル(エディ・マーフィ)。医までは人間と動物の両方の患者が押しかけてきてスケジュール表は予約で一杯。野良犬の就職ガイダンスをしたり、亀の夫婦問題の調停、テレビにも出演して、アラスカからオーストラリアまで世界中を飛び回る人気者ぶり。
そんなドリトルが一息つけるのは、美しい弁護士の妻リサ(クリスティン・ウィルソン)と娘のシャリース(レーベン=シモーネ)、マヤ(カイラ・ブラット)が待つ我が家だった。しかし、家族そろってシャリースの16歳の誕生日を祝おうと思ったのだが、シャリースは「デートがあるから」と冷たい態度。同じ家にいながら、部屋に鍵をかけているシャリースとの連絡方法は、携帯電話しかない有様。「なんで2人とも家にいないと携帯でしか話ができないんだ!」。思春期の娘が自分から離れていくようで寂しさを感じるドリトルは、シャリースを迎えに来たボーイフレンドのエリック(リル・ゼーン)を説得して家族と一緒のパーティに参加させる。そんなドリトルの努力もむなしく、シャリースがバースデーケーキのロウソクを消そうとした瞬間、驚かそうとしたネズミたちがケーキから飛び出したものだからサー大変。シャリースはカンカンに怒り出して部屋に閉じこもってしまう。シャリースは動物に振り回される生活にイライラしているようだ。ドリトルはシャリースをヨーロッパ旅行に誘うことでようやく笑顔を取り戻させる。
ところがである、森に住むビーバーの呼び出しの伝言を持って、アライグマがやってくる。「森が危ない。生きるか死ぬかの大問題発生!」と言われれば動かないわけにはいかない。「行ってくれば」とシャリースに冷たく言われ、後ろ髪引かれる思いでビーバーを訪ねる。「人間が木を伐採し始めたため、野生動物の生息地が脅かされている。動物の気持ちが分かって人間と話し合いができるのはあんただけだ」とビーバーに言われ、ドリトルは戸惑いを感じながらも無惨な伐採後の森の姿を見て立ち上がる決意をする。
「どうすれば森を救える?」ドリトルの悩みに妻のリサは、森が絶滅危惧種の生息地ならば、伐採活動を止めさせられると助言する。そこで動物学者で狂信的な動物愛護家のユージーン(アンディ・リッチャー)を訪ねると、その森にはパシフィック・ウェスタン・ベアという絶滅危惧種が住んでいると教えられる。しかし、それはメス熊一頭だけ。子孫を残せなければ、保護されることはない。同じ種類のオス熊がいれば問題はないのだが、ユージーンによれば、奇跡的に見つかった同種のオスは、なんとサーカス育ちの都会熊。人工的な環境で育った熊が自然界に順応できた例は過去にないというのだ。
しかし、そこは動物と話せるドクターの本領発揮。妻のリサが嫌がるのを説き伏せて弁護を引き受けて貰い、法廷でポッターズ製材を相手にオス熊を自然順応させることを宣言し、伐採の一時差し止め命令を取りつける。ドリトルに与えられた期間はわずかに一ヶ月。かくして「ダーウィンへの挑戦」と世間が見守る中、いよいよオス熊アーチーと対面することになる。
アーチー、それは自転車を乗りこなし、ロックを歌い、スターを夢見る曲芸熊。自分が絶滅危惧種であるよりはトップスターになることこそが関心事で、“熊らしさ”のかけらもない。しかし、恋をしたことのないアーチーは、メス熊エバに興味を持ち「もし子供を作ることができたら、世界一の人気熊になれる。プーなんて目じゃない」というドリトルの言葉にすっかりその気になってしまう。
しかし、メス熊のエバはショービジネスずれしたアーチーを鼻にもかけない態度。森で生きるエバにとっては、猟ができて自分を守ってくれるオスでなければつきあう意味がないと言うのだ。そこでドリトルはアーチーに野生の熊の生き方を教えようとするのだが、魚採りをさせれば息継ぎを忘れて溺れてしまい、虫を食うように言われれば好き嫌いを言うばかり、その上、冬眠の話を聞かせられれば、“ケツに栓をして半年寝てろってのか!」と怒り出す始末。アーチーのやる気はあっという間に失せてしまう。
そんなアーチーにドリトルは家族のすばらしさを語る。頭の片隅で、忙しさにかまけて家族との時間をないがしろにしてきた自分のことを考えながら…特に溝ができたシャリースとの関係…。
今度はエバへのナンパ作戦でアタックを開始するアーチー。「君の人生を愛と詩と笑いで埋めてあげる」と甘い言葉をささやき、エバの気持ちが傾きかけた矢先に木から落ちてしまう。エバに笑われてアーチは落ち込んでしまう。それでも、気を取り直してやっと自分で採った魚を持ってエバを訪ねるが、100匹単位で魚を持ってくるライバルのヒグマ、ソニーの出現。それでも、アーチーの愛の言葉に気持ちが傾いていたエバは、彼とのデートにつきあってくれる。2人で巨大な蜂の巣を見つけ、アーチーが良いところを見せようと「エバが欲しいなら採ってやるよ」と言ってみせるが、「あなたは、シティ・ベア。楽しいだけじゃつきあえない」と別れの言葉が帰ってくるばかり…
ドリトルの計画にいよいよ暗雲がたれ込め始めたその時、ポッター(ジェフリー・ジョーンズ)と弁護士のライリー(ケヴィン・ポラック)が取引を持ちかける。森の土地を10エーカーだけ聖域として残してやるから、後は手を引けと言うのだ。弱気になるドリトルだったが、アーチーがもう一度だけチャンスが欲しいとやる気をみせる。
エバのハートをゲットするアーチーの最終手段は、体を張って蜂の巣を採ること。見事に成功して見せ、その根性にエバも心を打たれ、ソニーと分かれたのもつかの間、ここで思わぬ自体が起きる。アーチーが民家に押し入り台所を荒らした凶暴な熊として捕獲されてしまったのだ。あれ?エバといたはずじゃ?
ポッターの陰謀と分かっていても、目撃証人がイタチでは法廷で認められるわけもない。万事窮したドリトルはアーチーに一生を台無しにしたことを謝る。そんなドリトルに「愛することを教えて貰って、ホントの人生を手に入れた」と伝え、しかし、「愛されない運命なんだ」とつぶやくアーチー。そこに控訴が棄却されたことを伝えにシャリースがやってくる。彼女はアーチーのつぶやきを聞いて「そんな運命の奴はいない」と言葉を返すのだった。驚いたドリトルは、初めて娘のイライラの原因に思い当たる。なんとシャリースは動物の言葉が分かるようになっていたのだ。やっと心が通じ合った父娘を見て、アーチー刃自分に欠けていたものが家族であることに気づく。
そして、「あんな一杯いるのに、なんとか助けてあげて」。最愛の娘の応援を得て、ドリトルは再び立ち上がる。森の動物たちを集めて、「信じられないかもしれないけれど、お前たちにはものすごい力が眠っている!」と呼びかける。ドリトルのもと、総決起した動物たちの実力行使が始まった。
伐採を始めた作業員を威嚇する狼たち、乳を出さなくなる牛、卵を投げつけるニワトリ、飼い犬までもが飼い主の命令に従わない。世界中の動物がストライキを始めたのだ。「民主党と戦った俺が動物ごときに負けるものか!」強気のポッターだったが、鳥の糞爆弾に襲われてついに観念し、ドリトルと連絡を取る。こうして、ドリトルを仲介役にポッターズ製材と動物の話し合いの席が設けられる。しかし、10エーカーの聖域を12エーカーに増やすというポッターズ製材側の妥協案は、動物たちに簡単に却下されてしまう。その上、プロの動物までもがストライキに参加し、競馬馬は走らず、水族館のシャチは芸をしなくなってしまう。そして、ついに動物側は完全勝利を手にするのだった。
そして、新しい春を迎え、ドリトルとシャリースはより親密に、そして、アーチーとエバには2頭の子どもが…。ただ、ショービジネスを引退したアーチーだったが、時々子どもに芸を教えてはエバに叱られているのだが。
人とは違うことを悩む娘。その違いが父から受け継いだものであるだけに父を受け入れられないでいる。そのことが動物が家族愛を知っていく過程の中で明らかにされることで、父も娘の本当の悩みを知ることによって、「自分も確かに悩みはしたが、むしろそれをすばらしいことだと思えるようになったことで受け入れられた」と伝えることができ、互いを認めあえる関係へと昇華していったという話。それがコメディの中ですてきに描かれていた。
家族、仲間を守ること、子孫を育むこと、それが生き物にとってどれだけ大切なことかを考えて欲しいものである。2001/7/21 WMC高岡