★★★『恋の骨折り損』(LOVE'S LABOUR'S LOST)

 対戦の暗雲立ちこめる1939年、フランス近隣に位置する小さな王国ナヴァール。その国の若き国王(アレッサンドロ・ニヴォラ)は、親友3人を誘って三年間学業に専念する公約を立てた。理想に燃える王の姿にロンガヴィル(マシュー・リラード)とデュメーン(エイドリアン・レスター)の2人は喜んで誓約書に署名するが、残るビローン(ケネス・ブランアー)は及び腰。と言うのも、誓いの中身が@週に1度断食することA一晩に3時間しか眠らないことB女性とは会わないこと、といった若い男性にはあまりに過酷なもの。しかも、折りも折りフランスの王女(アリシア・シルヴァーストン)がお付きの美女を伴い、アキテーヌの譲渡の件を話に来ると言うのだ。しかし、真剣そのものの国王を前にビローンも覚悟を決め、固い誓いを交わす。わずかでも規則を破れば、永遠に恥辱を堪え忍ぶことになるのだ…
 早速フランス王女一行が到着。王女はもちろん、お付きの3人も美女揃い。しかし、誓いは誓い。国王は女人禁制を守るため、王女らに野外での宿泊を申し出る。王女はその誓いを馬鹿にして「そんな誓いは、守るのも罪、破るのも罪」と揶揄するのだった。王女にすっかり魅了されてしまった少年のような国王。一方、親友たちもあっという間に恋に落ちてしまう。ロマンティックなデュメーンは純情なキャサリン(エミリー・モーティマー)に、情熱的なロンガヴィルは天真爛漫なマライア(カルメン・イジョゴ)に、そしてお調子者のビローンは大人の魅力漂うロザライン(ナターシャ・マケルホーン)にすっかり一目惚れ。女性陣も満更ではない様子。ビローンに至っては今にもダンスを申し込みかねない。恋の病に陥った4人に規則違反の罰の日は近い…
 そもそも恋心を封じるなど無理な話。発令後も宮廷内では恋する欲求を抑えきらない“愚か者”が続出。軍人アーマードは、純情な田舎娘ジャケネッタに魅了され熱烈な恋文を書く。一方ビローンもロザラインに宛てた恋の詩を書く。しかし、愚かにも2人が恋の密使に立てたのは道化のコスタード。なんと彼は2人の恋文を取り違えてしまったのだ。当然ビローンの恋の詩はジャケネッタの手元に。しかし、字が読めない彼女は、あろうことかお堅い家庭教師ホロファニアとナサニエル神父に詠んでもらうことに。一読した2人はこれを深刻な謀反の証拠品として、すぐに国王に届けるように急かすのだった。
 その頃、国王の部屋では、国王と親友3人が勢揃い。自分以外の3人が、それぞれの相手に恋の思いを謳う姿を見たビローンは勝ち誇って親友らの不実を責めていた。しかし、その真っ最中にビローンの恋文が。結局皆同じ穴のムジナということが発覚。しかし、そこは機知の男ビローン、「恋は女の目から学び取るもの。女の目こそが基礎で、教科書であり学園、命の源、プロメテウスの火だ。脳の中だけでの他の学問では…苦労ばかりの骨折り損!」と皆を何となく納得させ、誓いを破り力を合わせることで一致団結、いざ、美女を我がものに…
 恋が始まる予感は、恋するものを素直にさせるどころか、屈折させる作用がある。ちょっぴりいたずら心を起こした国王たち、早速女性陣にプレゼントを贈ると、仮面を付けて彼女たちのダンスを申し込もうというのだ。ところが事前にこのことを知った王女たちはイタズラだと思って迎撃体制を…なんと贈られたプレゼントを交換して身につけ、仮面を付けて彼らを欺こうというのだ。いよいよ対面の時。仮面を付けてやってきた男性陣は、プレゼントを目印に違った相手にダンスを申し込み、違った愛の告白をしてしまうのだった。そうとも知らず、クールを装って素顔で再登場した男性陣、女の手のひらで弄ばれていたことに気づく。その上「楽しい余興を拝見しました」と王女のとどめの一言。恋の駆け引きは女性陣の勝ち…
 その時、フランス国王崩御の訃報が届く。一転悲しい別離に“熱”から覚めた彼らは改めて愛する美女たちに真実の気持ちを打ち明ける。そっと寄り添い恋人同士の甘い時を過ごす8人の男女。喪が明けて再会するまでの間、男たちに誠実に暮らすことを求める女性たち…「誓いなど信じない。孤独の生活を耐えてください。それまで私の心はあなたの脳に」と王女、「その時は誠実な方のために喪服を脱ぐわ」とカメリア、「誰の求愛も受けない」とキャサリン。そして、ロザラインは…「あなたの会う前からあなたが毒舌家だと噂で知っていた。12ヶ月の間、毎日重病患者の元を訪ねて、その毒舌で笑わせてあげてください。誰も笑わなければ、その毒舌の毒草を抜いて私を勝ち取って…そして、もし笑わせることができれば、その時はその毒舌そのままのあなたを受け入れましょう」。
心に決めた男性陣だが…「12ヶ月は芝居には長すぎる」…
 戦局は悪化…フランス陥落…連合軍勝利…形勢逆転…そして、再会の時…

 シェイクスピア劇が、シェイクスピア俳優ケネス・ブラナーの手で見事なミュージカル映画になった。話の展開をナヴァール王国ニュースがわかりやすくつたえてくれ、ビローンの口を使ってくすぐりを入れる。そして、歌とダンス。ミュージカルの楽しみがしっかりと盛り込まれた作品だった。いつか舞台になるのかな?

2001/3/7(水) 高岡ピカデリー